触れた所から腐っていく様に堕ちていく
…君の熱で





の体温





「こんにちはー…ってあれ?」

「いらっしゃい姫君」

「ヒノエくん」

が何時ものようにお隣さんを訪ねると中からは紅緋の彼が現れた。

「あれ?ヒノエくんだけなの?」

「ああ、今皆出掛けてるんだ。俺だけじゃ…嫌?」

さらりとの長い髪を浚って指に絡め、に囁く。途端にさっと頬を赤く染めるに笑みを一つ溢してリビングに通した。

すっかり馴れたようにヒノエはコーヒーを入れソファに座っているに出す。
笑顔で受けとるの横に体を沈め、背もたれに腕をかけコーヒーを一口飲んだ。
ちらりとヒノエはを見る。
両手でコーヒーカップを持ち、熱いのかふーふーと一生懸命冷ましている様子は文句なしに愛らしく、ヒノエはカタンと音をさせ自分のカップを置いた。
そっと手を伸ばしのカップに手をかける。
不思議そうにするをヨソにヒノエはカップをテーブルに置かせ、そのまま体を近付け口付けた。

「…!」

驚いているの肩に手をかけ軽く押し倒す。
とさっ…と小さな音を立てはあっけなくソファに寝かされてしまった。
ふわりと舞った髪の毛を取りヒノエは愛しげに軽く口付ける。
そしてそのままの唇を再度奪った。
角度を変え、深くなっていく口付けには翻弄されるばかり。
あっと言う間にヒノエはのジャケットを脱がせソファの下に落としていた。
ワンピースのストラップがずらされ、背中に回った手が動く。
はその後の自分の運命を思いぎゅっと目を瞑った。

ガチャ…

途端に立った音には目を開ける。

「ただいま、…ってあれ?先輩来てるんですか?」

「!!」

聞き慣れた幼馴染みの声が聞こえては慌てる。ヒノエを押し返そうとしてもヒノエは動かずに素肌に舌を這わし続ける。
何時の間にホックを外されていたのか下着がそのまま外されそうになっていて慌てて隠した。

先輩?」

リビングを覗いた彼と目が合いは苦笑いを浮かべる。
ぐしゃ、と悲惨な音がして彼の両手に持っていた買い物袋は床に叩き付けられた。
固まってしまった譲を尻目にはヒノエを引き剥がす。
床に落ちたジャケットを掴み胸元を隠して立ち上がった。

「おっおかえり譲くん!えーとその、お邪魔しましたー!」

ダッシュでは呆然としている譲の横を駆け抜ける。
に逃げられてしまったヒノエは憮然としながらすっかり冷めたコーヒーに口をつける。
その態度にわなわなと震えていた譲の怒号が飛んだ。

「ヒノエ〜〜〜!!!」

その声は近所一帯に響き、ご近所さんに「あの温厚な譲くんが…」と井戸端会議のネタになったとかならないとか…