じわじわと蝉も唸る文月。
は暑さから防具を外して縁側に佇んでいた。
まだ日差しの強い午後二時。
眩しさに目を細めは空を見上げていた。

「あっついなー…」












氷水に溶けていった体温












「退屈そうだね、姫君」

「ヒノエくん!」

廊下をすたすたと身軽にヒノエが歩いてくる。
長い髪をなびかせが振り返るとすとん、と隣にヒノエが腰を下ろした。

「良いものを持ってきたよ、

ちゃぷ、とヒノエはの足元に氷の入った水桶を置いた。
足を冷やすといい、とヒノエが言えばはふわりと微笑んだ。

「冷たくて気持ちいい〜」

水の中で足を遊ばせながらはヒノエに向き直る。

「ヒノエくんも足浸けなよ、気持ちいいよ!」

にこっとに言われヒノエは足を浸す。冷たい。

「それじゃあ失礼するよ」

「どうぞどうぞ」

が、思いの他桶は小さくの白い小さな足とヒノエの男らしい少し骨張った足とがぶつかる。
その白くて柔らかな足に触れた時、ヒノエは動いた。

「足、ぶつかっちゃうね。ヒノエく…ん」

ヒノエを振り返ると目の前に真紅の瞳。
吸い込まれる様に飲み込まれる様には目を離せない。
気付けば唇は彼のそれに寄って塞がれていた。
慌てて手を突っ張り抵抗するがいとも簡単に腕を取られ横へ横へと倒される。
背中に床が着き木板が二人の重みを受けぎしりと鳴いた。
ヒノエは両手で掴んでいたの手首を離し、手をそっと彼女の柔らかな膨らみに添え…ようとした。



ばしゃん!



「「あっ…」」

横に倒れ無理な体勢から足も動き水桶は音を立てて倒れた。
お互いにふくらはぎまで水飛沫に濡れ、そのままの体勢で二人は声をあげて笑った。






戦乱の世の中、こんな些細な事が楽しい。




冷えた足に当たる風が心地良かった。











久しぶりすぎる・・・
リハビリ感が否めません。短いけど、甘く、ね!