ヒノエくんっ!」

、ただいま」

「ヒノエくんっ、ヒノエくんっ!おかえりなさい!」

ぎゅっと抱き締めての体温を感じる。

半月ぶりのはすごく華奢に思えた。







帰還







「おかえりなさい…ヒノエくん。無事で、よかった…っ!」

帰ってきた夜、と二人海にでた。

横に並んで座ると、がすごく小さく見えた。

「心配かけちまったかな?ごめんな…」

右手をの肩にやり、体を寄せる。

小さくて細い体は易々と動いた。

「ううん…ヒノエくんが無事に帰って来てくれてよかったよ」

そう言っては海に向けていた視線をオレに向けた。

儚げに笑う彼女にオレはそっと口付けていた。

「ヒノエくん…?」

少し驚いたように唇に手をやる

そんな彼女の髪を鋤くように優しく撫でてオレは口を開く。

「たった半月なのに、は綺麗になったね」

「えっ…な、何言って…」

恥ずかしげに視線を剃らすに、クスと笑って顎をつかんでこちらを向かせる。

「浮気でも、されちゃったかな?」

「なっ…!」

試すように言えばはハッと目を見開く。

「そんなわけないじゃない!ヒノエくんがいない間私淋しくて…!」

そこまで一気に言って、はうつ向いた。

「ヒノエくんがいない間、淋しくて死にそうだったよっ…!」

ホロホロと涙を溢すを、ぎゅっと抱き締めた。

「ごめんな…淋しい思いさせて」

そう言って抱き締める力を強めるとは首を横に振った。

「ううん・・・ううん・・・ヒノエくんが今、ここにいてくれるだけで十分だよ。

’ここ’に帰ってきてくれただけで、十分だから・・・」

泣きながらそういうが愛しくて愛しくて抱きしめる。

「当たり前だろ・・・?ちゃんと約束しただろ?’ここ’に帰ってくるって。

姫君のそばに戻ってくるって。

オレが約束を違えた事があったかい?」

優しくそう問いかけるとは顔を手で覆って首を振った。

「ないよ・・・。でも、それでも不安だった。

そばにいないことが不安だった。

もう帰ってこないんじゃないかって、怖くて・・・」

儚く、消えそうだった。

風が吹いたらそのまま飛んで行ってしまうじゃないかってぐらいに、弱弱しくて。

何処にも行かないように、の頭をオレの胸の辺りに押し付けるように抱きしめた。

「離れねえよ。いつだって、のそばにいる。

のそばで、オレが、お前を守るよ」

「ヒノエ・・・くん」

「好きだよ、。だからずっとオレのそばにいなよ。

オレの隣で、オレだけにその花のような笑顔を見せてよ」

「うん・・・!」

そうして彼女は涙目で柔らかく笑った。








   「ずっと、そばにいるよ」   

   とどちらともなく、言った。