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「11等分か…難しいな」

「それなら12等分して一個はじゃんけんでもしたらいいんじゃないですか?」

「いいんじゃねぇか?それで」

「将臣くん」

「そうと決まれば早速切り分けないとね」









りにわれて








『じゃーんけーんぽい!』

「やった!」

「ちぇ、お前かよー。あんまり食うと太るぜ?」

「その分動くから平気だもん。じゃ、いただきます!」

じゃんけんで勝ち取った二切れ目のケーキを口に運ぶ。
甘いクリームとふわふわのスポンジが口の中で溶けていく感じ。おいしい!

「ん〜っ、美味しv」

ソファの横では左に敦盛さん右にヒノエくんが座ってこっちを見ている。
何だろう?食べたいのかな?

「お楽しみの所悪いね姫君」

唐突にヒノエくんにそう言われ、首の後ろをヒノエの腕が通った。
そのまま頭に回った手はがしりと私の頭を捕えヒノエくんの方に引き寄せられる。

「!?」

ぺろっ

「!!?」

生暖かいものが頬を這う感覚があってちらりとそちらを見る。

ヒノエくんは楽しそうにぺろりと自身の赤い唇を舐めた。

「クリーム、ついてたよ」

もう取れた筈なのにヒノエくんは私の頭を離そうとはしない。
軽く身をよじってみたけど思いの外力が強く離れられない。私はフォークをくわえたまま固まってしまっていた。

「おっと、此処にもクリームついてるぜ?」

とんとん、と唇のすぐ下を指すヒノエくんの指に釣られる様に手を添えた…つもりだった。

いつの間にか私の唯一空いていた手は捕えられヒノエくんの男の子にしては綺麗過ぎる顔が近付いてくる。
燃えるような赤の瞳はだんだんと伏せられて見えなくなっていく。

思わずぎゅっと目を閉じた。

ちゅっ

ヒノエくんの唇はクリームのついていた所に軽く口付けて離れていった。
それと同時に捕えられていた手も頭も解放される。
徐にソファから立ち上がったヒノエくんが御馳走様。と私の耳元に囁いて皆の方へ去っていった。
私はくわえていたフォークを床に落としてヒノエくんの背中を茫然と眺めていた。
隣で全てを見ていた敦盛さんが真っ赤になってうつむいているなんてこと、これっぽっちも気付かずに。









ヒノエの勝ち!(何が)