「ねー仁王離れてよ!」

「いやじゃ」

「私仕事があるのー」

「そんなんやらんでええ」

「真田に怒られるー」

寒さも押し迫る11月。
私の後ろから抱き付いている黄色いジャージの主は仁王雅治。
これでも私の彼氏だったりする。
かっこよくテニス部レギュラーの羨ましがられがちな彼氏だが、彼にも欠点くらいあるのです。
それは寒さ。
冬になるとこうなっちゃうんだよねー…はあ。

「にお、離れなさい。集合でしょ」

ー…」

「早く行かないとこれから抱きつくの一切禁止」

「…行ってくる」

「はい、行ってらっしゃーい」

「すげー先輩」

「赤也、あんたも何やってんの集合っしょ」

「行きますよー。でもあの真田副部長でも無理なのに先輩はあっさり剥がせるんすね」

「当たり前っしょ。彼女だもん」

「流石ッス!」

「誉めてくれるのは嬉しいけど早く行かないと真田の鉄拳くらうことになるよ?」

「うわっやべ!行ってきまーす!」

「はいはい行ってらっしゃーい」

赤也が向かったのを見送って私は散らかったタオルやらテニスボールやらを片付け始める。
するとミーティングが終わったのか解散!という真田のでかい声(マイク未使用)が聞こえてぱっと顔を上げる。
と同時にのしっと背中に何かが乗った。
見なくてもわかってるけど。

「にお、重い…」

仁王は無言でスリスリと背中にしがみつく。
どうでもいいけどどさくさに手を胸の上にやるのやめれ!
とりあえず手をお腹までずり下げると寒そうなレギュラー陣が戻ってきた。

「うえーさむっ!って仁王ずりー!」

は俺のじゃ」

「ちょっとくらいわけろぃ!」

「嫌じゃ」

仁王は後ろから私を抱き締めたまま立ち上がり後ろに逃げ出した。
ちょっと待て!大分危険!!

「ちょ、ちょっと待って仁王怖い!!」

「大丈夫大丈夫」

「大丈夫じゃなーい!!」

騒ぎを聞きつけた真田の怒号が飛ぶまであと10秒。









(おちなし!某そうちゃんのブログで見た寒がり仁王に萌えただけ)