突然降って沸いたチャンスとそれを逃した自分の運の無さに本気でへこんで、泣くまでとは行かなかったけど目頭が熱くナリマシタ。
もう悲しくて哀しくて強歩で帰ることにした。早く帰りたい。帰りたい帰りたい帰りたい。ひとりぼっちで暗い思考に耽りたいんですどうか止めないで神様。
って言っても私はキリスト教なんかじゃないし神様なんて今日のこの一件で信じなくなりました。
人生は良いことと悪いことが+−0になってるって言うけどここまでの人生運のまるでなかった私にはこれから先の人生幸せだらけでもおつりがくるくらいだわ。
他に何もいらないからとまで願ったのに。神様なんてきっといない。もう信じない。思い出したら歩きながら泣きそうにナリマシタ。馬鹿だ私。
「あっれー先輩じゃないっすか!」
切原家の馬鹿也くんに今は会いたくないです。頼むから聞き違いだと誰か言って。
「先輩っ!ちょっとシカトしないでくださいって」
あっさり捕まった。帰宅部の私がテニス部現役レギュラー(しかも年下)に敵うわけがないのデス。構わないでくれ頼むから。
「先輩っ」
「何ですか赤也くん」
「あれっ敬語なのに棘を感じるのは気のせいっスか?」
「(気のせいも何も棘を含めてんだっつの!バカ也!)」
「それにしても先輩おしゃれして何処行ってたんスか?」
「何処…黙れバカ也!」
「はっ!?何なんスかいきなり!」
あんたが思い出させるような事言うからだ!赤也にしてみればとても理不尽なやつあたりだけどここはシカトしたのに声をかけてきた赤也が悪いのよ、諦めて。
「バカ也バカ也バカ也!…っ」
「え、ちょっ先輩!どうしたんスか!?」
「っ…バカっ…也」
「わーわー!泣かないで先輩!よしよし」
そのままうざい女だとほおっておいてくれたなら私はきっと泣かなかったのに。
どうして赤也に会っちゃったんだろう。どうして赤也はこんなに手があったかくて優しいのだろう。
「先輩…」
涙目で赤也を見たら困りきった顔をして必死に私の頭を撫でていた。
バカ也。
「っ…もう、」
泣かさないでよ馬鹿!
(やっぱり人生は+−0かもしれない)
私にもこんな素敵な出来事があったなら神様も信じたけどね!新世界の神くらい
しかいないんじゃないの!?ちくしょ…うわ〜ん!