step3僕を庇って君に怪我されるのは酷く不愉快だ

「ここか」

煙草を口にくわえた獄寺が言う。黒いスーツに銀色の髪を無造作に後ろで縛り車から降り立った。
雲雀とはバイクに二人乗りして倉庫までやってきた。降りて獄寺の横に並ぶと後から来た雲雀がを引っ張り自分の背に隠した。

「恭弥…?」

「ぶっ!(恭弥!?あの雲雀を恭弥!?)」

は後ろに居なよ」

「私だってボンゴレの一員だよ!?」

「いいから。命令だよ」

雲雀はを押し黙らせて獄寺に目で合図する。一旦吹き出した煙草をくわえなおして獄寺は倉庫のドアの前に立った。

「果てろ!!」

どこから取り出したのか火のついたダイナマイトをドアに投げつける。爆発して穴のあいた中に突入した。

「ざっと30人…って所かな」

「一人辺り10人か。楽勝だな」

「では、行きますか」

獄寺はダイナマイト、雲雀はトンファーを構えも太ももに隠していた拳銃を構えた。

一瞬の、空白。

次の瞬間には三人は方々に散り各々の敵を片付けていった。

「けっ何だ雑魚ばっかかよ」

「群れるな」

30人なんてあっという間で屍の中央に三人は立っていた。

「もう終わりかよ。簡単だったな」

「…帰るよ、

「えっ!?あっうん!」

不満げに言った獄寺に答えるでもなく一人出口に向かった雲雀を追いかけてもきびすを返す。
が、の目は倒れ伏した仲間の屍に紛れながら銃を構える男を見た。狙っているのは雲雀の胸元。
ほんの一瞬、考える暇などなかった。

「危ない恭弥!!」

後ろから飛びかかり驚く雲雀を押し倒すように崩れ落ちた。叫び声をあげたのとほぼ同時に放たれた銃弾はの右肩を貫いた。

「なっ!?まだ生きてやがったのか!?」

獄寺がそう言いながらダイナマイトを放つ。男は爆音と共に消えた。

「ちょ、!」

「恭弥、怪我はない?」

右肩を押さえたは雲雀に抱えられ、雲雀は珍しく焦りの色を露わにしていた。
の右肩からはどくどくと血が溢れ、零れていく。雲雀はネクタイを外して止血した。

「馬鹿か君は…!」

「恭弥を守るのが私の仕事ですから」

「…っ僕を庇って君に怪我されるのは酷く不愉快だ」

苦虫を噛み潰したような苦渋に満ちた顔で言った雲雀の言葉を受けて、はすぐ近くにいる雲雀にも聞こえるか聞こえないかの掠れた声で
「それでも私は守るために在る」
と呟いて暗闇に落ちた。

「おい雲雀!後片付けはやっとくから早くを連れて行け!」

「君に言われなくてもわかってるよ」

獄寺にバイクのキーをパスして雲雀は意識を失ったを抱き上げて足早に倉庫を後にした。獄寺の乗ってきた車にを寝かせ、自身も乗り込んで車を発進させる。
倉庫を炎上させて後始末をした獄寺は雲雀のバイクに跨り倉庫だった建物を後にした。