近頃はじろうに夢中だ。
じろうって言ってもね、俺じゃなくて猫。が最近拾ってきた白猫、じろう。
「ひとなつこい所がジロに似てるの」と無邪気に笑ったは白猫にじろうと名をつけた。
それからと言うものはじろうに夢中。何を言ってもじろうの話しかしてくれない。

あのねじろうがね、昨日じろうがね、

何度そんなセリフを聞いただろう。
はじろうがだいすきなんだって。俺よりも?って聞いたらジロも同じくらいだいすきって言われた。
嬉しかったけどよくよく考えたらそれ、猫と同じくらいだいすきってあんまり喜べないような…。
は今日も先に帰ってしまった。今日はひなまつりだから一緒にひなあられ食べる約束したのに。
じろうが心配だから先に帰るねっては笑って帰ってしまった。ひどいCー。
俺はもういなくてもいいのかな、にとって。
とぼとぼと帰る。一人で帰るとつまんなくて寝そうになるんだけどなー…。に居てほCー…。あ、ねむ…

「ジロー!」

ついつい道路の真ん中で寝そうになった。誰かに名前を呼ばれた。
誰かなんて言わなくても誰だかわかってるんだけどね。
ぱっと顔をあげると白猫のじろうを抱えたが走ってきた。
じろうの散歩かなあ…?

「ジロ、寝ちゃだめ!」

ー…?」

「一緒にひなあられ食べるんでしょ!」

ほら!ってはひなあられの袋を二人分見せた。
学校に持ってくるの忘れちゃったから先に帰って取ってきて俺んちで待ってたんだって。
だけど俺が帰ってこないから心配して学校来たら俺が寝そうになってたんだって。
ってばタイミングEー。

まだ半分寝惚けてる俺にいつの間にの腕の中から出たのかじろうが擦り寄ってきた。
抱き上げてやるとじろうはにゃあと鳴いて擦り寄ってきた。こんなに可愛いのにしっとしてごめんな。じろうの事嫌いじゃないんだぞ。
と心で呟くとじろうはまたにゃあと鳴いた。
可愛いなあじろう。多分がつけた首の赤いリボン、似合ってる。
何より俺と同じ名前で嫌いになるわけないんだ。

「じろうってばジロになついてるね。初めて会ったのに」

きょとんとしてが言った。目を真ん丸くさせてってばかなり可愛いC。

「それはやっぱり、同じ名前だからじゃないの?」

ニッと笑って俺が言うとじろうが合わせるようににゃあと鳴いた。ほら息ピッタリ。

「…そうかも」

くすっとが笑って、俺の手を取った。ぎゅっと繋いで一緒に帰る。

「ねぇ

「何?」

「じろうと俺、どっちが好き?」

「えぇ?二人とも好きだよ?」

「じゃなくて!じろうと俺、どっちの方がより好きか聞いてるの!」

「そんなの決まってるでしょ?」

俺が必死に聞くとはふわりと花が咲くみたいに笑った。

「ジロだよ」

にこりと笑ったに、じろうは抗議の意を込めてにゃあと鳴いた。
けど悪いなじろう。
は俺のもんなの。
心でじろうに謝るとじろうが不満げににゃあと鳴いた。
ちょっと聞かないふりでじろうに見せ付けるようににちゅーしてやった。
には怒られて殴られたし、じろうは腕から降りての方行っちゃったけど俺はすっごく幸せだった。
















(その後ひなあられ食べながら寝ちゃった俺とその横に寝ちゃったじろうを見て
が「本当にそっくり」って呟きながら笑ってたなんて俺もじろうも知らなかった)























ほのぼのひなまつり。
久しぶりに書いたらジロちゃんが偽者…(伏し目)