深夜11時50分。雲雀にメールをした。

「件名:今すぐ
本文:窓の外を見て」

送信完了の文字が見えて窓を見上げれば閉まっていたカーテンが開いて雲雀が姿を見せた。
少し目を見開いて驚いて、と口が私の名前を紡ぐ。
にこりと笑って手を振ればカーテンが乱暴に閉められた。
しばらくするとパタパタと足音が聞こえてドアが開いた。
出て来た雲雀は黒のパジャマに身を包んでいて少しだけ焦りの表情が見えた。

「や、雲雀」

ひらひらと手を振ると雲雀が呆れたように頭を押さえた。

「…こんな時間に何やってるの。今何時だと思ってるの?」

「11時52分」

「…とりあえず、入りなよ」

小さくため息をついた雲雀に促されて家に入る。
慣れたように二階の雲雀の部屋まで行き、
雲雀のふかふかのベッドに座った。
キッチンに向かった雲雀が紅茶を入れて戻ってくるのを待っている間に
抱えてきた大きな荷物をテーブルの上に出した。
今日の為に焼いた誕生日ケーキだ。
ラッピングを解いて箱の中身を確認してまた蓋を閉めておく。
携帯を弄ってアラームを確認してテーブルの上に置いた。
そのうちに雲雀が戻ってきて、
美味しそうな匂いのする紅茶が前に並べられる。
ちらりとその横の携帯を確認すると

あと10秒。

雲雀は紅茶を飲んでいる。

5秒。

紅茶のカップを置いた。

あと4秒。

携帯を見つめっぱなしの私に?と声をかけた。

3…

2…

1!

途端に携帯から軽快に流れるハッピーバースデーの音楽。
雲雀の視線が携帯に向く。
にこりと笑ってテーブルの上の蓋を開けると、
用意していた大きな誕生日ケーキが顔を出した。
ケーキを見て、
それから私の顔を見た雲雀の腕にぎゅっとしがみついて
誕生日おめでとう、と言って頬にキスを一つ落とした。

、これ」

「ふふふー、びっくりした?」

「うん、びっくりした」

「どうしても一番最初におめでとうって言いたくて。
生まれてきてくれて有難う、大好きだよ…恭弥」

恥ずかしくて普段は呼べないでいる雲雀の名前を呼んだら、
雲雀がはにかんだように、笑った。

私の方に上体を倒して雲雀は携帯から流れる軽快な音楽を止めた。
手が優しく頬に触れて、親指でそっと唇に触れた。
その合図に私は目を閉じて雲雀に身を任せた。

本当に生まれてきてくれて有難う、雲雀。










Happy birthday! kyoya hibari!