、ほな英語のノートや」
「おおきに。助かるわぁ」
「おん、お互い様やからな」

今朝も朝練終わって教室に行ったらはおった。ほんまこいつ早いな。
普段やったら朝練の後視聴覚室でネットしたりしてるんやけど、昨日はたまたま視聴覚室が開いてへんかった。
しゃーないから教室に来たらが来て、静かな時間を話して過ごした。

とはこの前の席替えで隣になってからよお話すようなった。
他の女子と違ってギャーギャー言わへんし、取り巻く空気が柔らかい。
隣にいてもうっといと思ったりせえへん。こんな女子は初めてやった。

今日は視聴覚室は開いとったけど、なんやネットする気にもならへんし教室に来た。
俺、気付いたらと話すの楽しみにしてるのかもしれへんな。
昔は誰も彼もうっとくて、一人で音楽ガンガン流して聞いとったのに。

「財前くんの訳丁寧やなぁ、見習わな」
「ほんまに自分やってこぉへんかったんやな」
「おん、昨日約束したやん」
「俺がやってこぉへんかったらどないしたん」
「財前くんはやってくるやろ?」
「は?」
「財前くんは嘘つかへん」
「…アホやろ」
「そや、私アホやでー」

ケラケラ笑いながらは写しとるけど、俺はそれどころやなかった。
不意打ちや、そんなんずるいわ。
嘘つかへんなんて言われたのは初めてや。
なんや勝手に赤なる顔を慌てて手で隠して窓を見る。窓際の席でほんま良かった。
前やったら勝手に自分のこと決めつけられるん嫌いやったのに、なんやねん俺。どないしてん。

「財前くんノート写せたで」
「お、おん」
「ん?どないしてん、なんや顔赤ない?」
「気のせいやろ」
「ほんま?」
「気のせいやって、うっといわ」
「…ふぅん?」

無理やり言いくるめるとは興味なさげに鞄を漁った。
なんやその態度。もうちょい風邪やなんや心配出来ひんのかいな?
って否定したん俺やないか。なんやねんどうしたいねん俺。

「はい」
「あ?」
「部活で疲れてんのとちゃう?甘いの食べると元気出るで!」

そう言ってが笑顔で差し出したんは、三角の形が印象的ないちごみるく飴やった。
これ俺好きなやつやん。

「…おおきに」

ぽつりとそう言えばは笑って頷いてた。
あれ、もしかして俺、










好きかも、しれない
(なんや恥ずかしくて顔見られへん